マイカーリースの利用価値は?

マイカーリースのイメージビジュアル

個人向けマイカーリースのインターネット広告が増えていますが、はたして購入(保有)に比べたメリットはあるのでしょうか?
結論から言うと、マイカーリースは購入に比べた費用的なメリットはなく長期的に見ると割高です。
また、月々1~2万円程度で新車に乗れる格安リースは、距離制限が厳しかったり長期リース契約を求められるなど、利用者にとって不利な契約内容になっているので注意しましょう。

そもそもリースとは?

レンタルとリースの違いは期間です。レンタルは数日から数ヶ月の短期契約が中心なのに対して、リースは半年から最大10年程度の中長期による貸与を受ける流れです。
つまり仕組み的には車を長期に借りる(レンタル)ような形式になります。
カーリースの場合は、車両代金および購入時諸費用など購入時にかかる諸費用のほか、自賠責保険、重量税、自動車税などリース期間中にかかる税金や保険代金もリース費用に含まれます。
リース代金としての支払い額は高くなりますが、保有するのに比べて自動車税や車検時の諸費用など持ち出し費用が少なくなるのがメリットです。

オープンエンドとクローズエンド

カーリースを検討する場合は、オープンエンドとクローズエンドの違いなど、仕組みを理解することから始めましょう。
オープンエンドはリース期間満了時にリース会社が算出したリースアップ金額(買取額)と設定した残債を精算する形式で、分かりやすく言えば残価設定ローンに自動車税や自賠責保険の維持費を月々の支払いに組み入れたのがオープンエンドです。
クローズエンドは当初設定した走行距離の範囲内で大きな傷や修復歴がなければ、リース満了時に車の引き上げで契約を完結する形になり、買取保証のある残価設定ローンに近いです。

マイカーリースは会社や契約方法によってオープンエンドとクローズエンドがあり、一部では残価を設定せずにリース満了後に車が自分の物になる契約方式もあります。

法人でカーリースが人気の理由

リースは自動車税や車検時に発生する重量税・自賠責保険、始期によっては任意保険料をリースに組み入れることができます。
リースではない場合も維持費は全て経費計上することができますが、月々の支払いを一定にすることで帳簿をシンプルにして支出を一定にできるメリットがあります。
法人は税金対策で定期的に車を代替する需要が高いので、3~5年程度のカーリースで新車に乗り換えていくと手続きがスムーズになるメリットがあります。
個人の場合は税金対策の恩恵を受けられないので、車両購入費以外をリースに組み入れた分だけ、利息の負担が大きくなってしまいます。

個人向けマイカーリースを推奨できない理由

個人でマイカーリースを契約

一部のカーディーラーでもマイカーリースを扱っていますが、高いシェアを確保しているのはガソリンスタンドや総合リース会社など、本来は新車販売以外を本業にしている業者です。
メーカー、正規販売店(ディーラー)を経由してリース会社が仕入れを行うと、各業者の利幅の都合で値引き枠が低く割高になってしまいます。
法人向けリースはディーラーが扱うことが多いのに対して、個人向けマイカーリースはディーラー以外の業者が絡んでしまうことが大きなデメリットだと言えます。

また、月額1~2万円の金額で手軽に新車へ乗れるマイカーリースは、7年や9年の長期リースを結ぶ契約内容になっていることが多いです。
仮に新車ディーラーで通常購入の商談をした時に、いきなり7年や9年の長期ローンを提案されると「おいおい・・・」って思ってしまいますよね?それが総額ではなく月額料のみをアピールするマイカーリースでは長期契約の条件提示でも魅力的に感じて契約してしまう人がいるのです。
つまり、マイカーリースが普及した大きな要因は、人間心理をついた販売戦略だと言えます。一昔前に新車を半額で乗れる残価設定ローン(ONIXなど)に近い販売戦略とも受け止められます。

結論を言うと、マイカーリースを利用するよりも、買う時はディーラーで値引き交渉を頑張って、売る時は買取専門店を含めて複数社比較して最高値で売った方が総額を安くできます。
月々の支払いを安くしたい場合は長期ローンや残価設定ローンを活用すれば対処できます。 マイカーリースはピンキリですが、多くのケースでは業者が絶対に損失の出ない条件でクローズエンドリースを組んだり、値引きが少なく金利負担も大きな条件になるなど、何かしらの理由で割高な条件になっていることがほとんどです。
それでもマイカーリースを検討したいと思う方は、マイカーリースで払う総額と、ローン購入で支払う総額+自動車税、自賠責保険料などの維持費の総額を計算して比較するようにしてください。
細かい計算をすると、きっとマイカーリースの割高な価格設定に驚いてしまうハズです。

マイカーリースVSローン購入の比較事例

購入車種:スズキ・ワゴンR
グレード:HYBRID FX
オプション:フロアマットのみ

ディーラー購入

車両価格:1,177,200円
値引:▲37,200円
オプション:14,202円(フロアマット・ノーブル)
諸費用:150,000円
総額:1,304,200円

・ローン支払い額
金利3.9%、頭金なし、ボーナス払いなし

9年(108回) → 14,292円/月、総額1,543,536円
7年(84回) → 17,710円/月 総額148,764円
5年(60回) → 23,883円/月 総額143,298円

マイカーリース(O社9年プラン)
17,496円×108回(総額1,889,568円

・リースに組み入れられる購入後の維持費
自動車税:10,800円/年×7年 = 75,600円
自賠責保険:25,070円(24ヶ月)×3回 = 75,210円
重量税(エコカー):5,000円×3回 = 15,000円
合計:165,810円

マイカーリースの支払い総額は約190万円で、その中でリースでなければ毎年払う自動車税と車検毎に払う自賠責保険と重量税の費用で約16.5万円含まれています。
単純な比較をすると、9年ローンで購入した場合の総額(約154万円)より、マイカーリース(190万円-16.5万円)は20万円も割高な計算になります。
また、購入であれば9年ローンを組んでいても3年や5年で売却して、買取額から残債を精算することが可能ですが、リースの場合は決められた期間を待たずに売ろうとすると条件が不利になることもあるので注意しましょう。