10年落ちのハイブリッドカーでも高値な理由

2009年発売のプリウス

ハイブリッドカー(HV車)ブームを起こしたのは2009年発売の3代目プリウス(ZVW30系)です。
当時は、納期が半年以上になる空前の大ヒットになり、長年販売台数トップの座を守っていたカローラを抜かしたことでも話題になりました。
ハイブリッドブームが起こってから10年が経過しましたが、2代目以前のプリウスやホンダがかつて販売していたマイルドハイブリッドの時代に比べて、ハイブリッドカーの買取価格が底堅い推移を見せています。

ハイブリッドカーは駆動用バッテリーが経年劣化を起こして燃費が悪化していき、最終的には駆動用バッテリーの交換が必要です。
2代目以前のハイブリッドカーは古くなると買取価格がほとんど付かなくなります。
3代目以降のプリウスや2011年発売のアクアなどは、同年式のガソリンエンジン車と比べても高く売れます。 古くて走行距離が多いハイブリッドカーと中古車相場の関係を解説します。

ハイブリッドカーのメリットは燃費だけではない

充電しているHV車

ハイブリッドカーは、エンジンの回る力に加えて、ブレーキ熱(回生ブレーキ)の力で駆動用バッテリーを充電して、モーターアシストや一時的なEV運転を可能にします。
ガソリンを燃焼して動かすエンジンの負担が少なくなるので、燃費が向上します。
エンジンの力のほかに、ブレーキで発生するエネルギーも有効活用しているのがハイブリッドカーの特徴です。
最近バカ売れしている日産の「e-Power」も発電用バッテリーのほかに回生ブレーキによる充電をしているので、メーカーはハイブリッドの一種だとアピールしています。

燃費は回生ブレーキの有効活用やアクセルワーク、駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量、電圧低下の影響を受ける気温などによって燃費が変わり、古くなると新車当時に比べて燃費が大幅に悪化します。
ハイブリッドカーを新車購入して、燃料代だけでガソリンエンジン車との差額を回収しようとすれば最低でも10万km前後走らないといけない計算です。
購入価格を含めたコストパフォーマンスを重視するなら、低燃費を売りにしたコンパクトカーを買うべきです。
それでもハイブリッドカーが売れているのは、モーターアシストによる太いトルクやエンジン音が少ない静寂性があるからです。

中古のハイブリッドカーは燃費こそ新車に劣りエンジンの稼働率は高まりますが、モーターアシストの力や静寂性に大きな変化はありません。
結果的にガソリンエンジンモデルに比べて乗り心地や走りが良いので、古くて駆動用バッテリーが消耗している中古車の購入需要が高まっています。

バッテリーの寿命が想定よりも良かった

プリウスやアクアの場合は、新車から5年10万kmまでは駆動用バッテリーも保証対象です。
お得なバッテリー交換をできるプログラムコースも用意されています。
一般的には7年前後でバッテリーの寿命が来ると言われていましたが、3代目プリウス(THS-2のハイブリッドシステム)が登場して10年経過しましたが、未だにバッテリー交換せずに走っている車両が多数あります。
当然、新車当時より燃費は落ちますが、必要なモーターアシストや一時的なEV走行を可能にするバッテリー容量は確保できることが口コミから分かりました。
一部では完全な寿命になって、モーターを動かす電力供給ができない状態になってしまうこともありますが、全体的に駆動用バッテリーとモーターが無駄な荷物になるような不具合発生リスクは低いです。

古いハイブリッドカーの中古価格はガソリンエンジン車と僅かな差です。
新車は30~50万円以上価格が上乗せされるハイブリッドカーは購入価格がネックになりますが、中古車であれば僅かな差額でハイブリッドカーを購入できます。
燃費による恩恵は新車よりも少なくなりますが、快適性と走りの良さが向上するので、ガソリンエンジン車よりも魅力的な存在として評価されています。

一時期は5年・10万km以上のハイブリッドカーを売る時は、バッテリー交換費用が査定減点されていました。
最近では再販時に駆動用バッテリー保証対象外の条件でも買う需要が増えたため、バッテリーが劣化して燃費性能が低下しているハイブリッドカーでも高値の付くケースが増えています。

バッテリー交換費用が意外に安い

ディーラーでの純正品交換は、アクアが工賃込みで14万円前後。3代目プリウスは18万円前後です。
同じクラスのガソリンエンジン車と新車購入価格の差は30万円以上ありますが、駆動用バッテリーだけの交換なら思ったよりも安いと思える価格帯です。
低年式や過走行の中古車は購入価格が安いので、駆動用バッテリーが完全な寿命になって交換しても、大きく損した気持ちにはなりません。
駆動用バッテリーに交換すれば新車同等の低燃費性能が復活します。
新車購入価格に比べてバッテリー交換費用が安くて、オーナーの口コミを見るとバッテリー交換しなくても快適に乗り続けられることが、古いハイブリッドカーに高値が付く要因です。