車買取専門店の歩合給を暴露

車買取専門店の営業マン

車はマイホームの次に高い買い物と言われていて、成績優秀な営業マンは高所得を手に入れられます。
私自身も車買取業者で勤務していた時は年収1,000万円を超えていて、多くの車業者は経験や勤続年数に関係なくトップセールスマンは年収1,000万円前後を手にしています。

車を売買する時は、成約することで営業マンにどれだけの恩恵があるのか気になる人も多いでしょう。
細かい歩合給の割合まで暴露すると特定される恐れがあるので一部を濁しますが、私が勤務していた会社と同業者から聞き込みをした車営業スタッフの歩合給を解説します。

会社によって給与システムは大きく異なる

車買取専門店、新車ディーラー、中古車販売店を問わず、勤務する会社によって給与システムは大きく変わります。
最初にポイントになるのが会社の規模によって目指す場所が違うことです。
多くの拠点を持つ大手チェーンや大手販売会社は、歩合給は少ないけど優秀な成績を残すと店長や部長、エリアマネージャーなどの管理職に就くポストで見返りを用意しています。

管理職のポストが多い会社でも、現場の営業スタッフが向いている人もいるので、出世しなくても好成績を残せば相応の見返りを用意していますが、全体的に中小規模の会社の方が歩合給の割合が高いです。

重視する項目が異なる

車関係の営業職は、大きく分けて利益によって歩合給を計算する会社と、成約台数によって歩合給を計算する会社の2種類があります。
私の勤務していた会社は、成約台数を重視する方針でポイント制を採用していました。
廃車レベルなど、極端に買取価格が安い車のポイントは低くなりますが、利幅の小さいコンパクトカーと買取価格数百万円で大きな利益が期待できる高級車を買取しても同じ評価です。
私の会社は半年ごとの獲得ポイントに応じて、その先の半年にわたって支給される調整給が変わる仕組みで、わずかながら月々の歩合給も存在しました。

直近の獲得ポイントが高ければ、その先半年は全く売れなくても高所得が約束されるシステムで、極端な表現をすると半年サイクルで大きな歩合給が支給されます。
買取業者は、買取した後でないと利幅が確定しない特性から、利益よりも台数を重視した歩合給を用意している所が多いです。
中古車販売店は値引きの概念が少ないので、利益ではなく売上ベースで歩合給を計算するケースもあります。

私の親しい知人が勤務する新車ディーラーでは、完全に利益重視の歩合給が用意されていて、値引きを引き締めるほど歩合給が増える仕組みです。
ただし、利益重視の歩合給を採用するディーラーは珍しいケースで、新車ディーラーの場合は登録台数を増やすとメーカーから奨励金が出るので、台数重視の歩合給を用意している所が多く、利益重視の歩合給は外車ディーラーによく見られます

基本給との関係

以前は中小企業に勤務すると、基本給が15万円以下で歩合給を獲得しないと食べていけない環境が存在しました。
現在は労働基準法に則った就業環境を用意しないと厳しく指導されるため、正社員雇用であれば年齢と勤続年数から相応の基本給が用意されます。
年功序列で昇給していく面もありますが、ベテランで基本給が高いのに成績が悪いと退職させようと会社から追い込まれるシビアな世界です。

当然ですが基本給が高い職場は歩合給の割合が低く、スタッフ間の収入格差が少ないです。
4大の新卒を積極的に採用する大手ディーラーでは、歩合給は存在するものの、1台数千円程度しかもらえない所もあります。

ディーラーは複雑な給与システム

今回のコラムでもっとも強く伝えたいのが、新車ディーラーの給与システムは下取入庫の歩合給を用意している所が少ないことです。
ディーラーは、販売台数、任意保険、ローン、車検、法定点検など項目別に歩合給を用意している所が多いです。

車検や点検は1件あたり500~1,000円程度になりますが、既存顧客が増えれば新車が売れなくても相応の歩合給を確保できる仕組みです。
このほかにも携帯電話や販売チャンネルが発行するクレジットカードを売っているディーラーもあり、付随サービスにも歩合給を用意されていることがあります。
ディーラーの給与で不思議なのは、任意保険の歩合給を用意している所が多く、新車を1台売って得られる歩合よりも、保険の新規獲得で得られる歩合の方が高いことがあります。
任意保険の場合は、どこの会社でも基本的に成約保険料に対して新規・更新に応じた一定割合が営業マンに還元されます。

新車販売は1台あたり定額なのに対して、保険は売上に応じたパーセンテージなので、売上は10倍以上の差があっても保険を獲得した方が営業マンは美味しいです。
また、歩合給が細分化したディーラーが多い中で、下取入庫に対して歩合給を用意している所が非常に少ないです。

新車ディーラーでも、実は一番利益単価が大きいのは中古車売買になっていることが多く、下取りした中古車を自社販売で売れば新車よりも儲かります。
つまり、新車ディーラーの歩合給は売上と利益に連動していないことが多いです。
結果的に下取を入れてもらわなくても良いと考える営業マンも多く、車買取業者に横流しが行われているのは矛盾した給与システムが関係しています。

本当に高所得を得ている営業マンはごく一部

車買取の営業マンの給与事情

中古車買取業者の場合は、査定額だけの単純なもので交渉の余地にも限界がありますが、新車の場合は、営業が高額な歩合給を貰っていると勘違いして、営業マンに自腹を切らせるまで値引きやサービスを要求してくるお客がいます。

しかし、本当に高所得を得ている営業マンは全体のごく一部で、歩合給から残業代が相殺されたり、営業活動に必要なガソリン代などを一部自腹負担することもあり、額面以上に手元へ残っているお金は少ないものです。
経費を使える金額を制限していることも多いブラックな業界で、高所得を得るには優秀な成績を残すだけではなく要領良く仕事をする必要があります。

車を売る時に、業者の給与システムまで調べて比較するのは困難ですが、歩合給の有無によって業者の本気度合いが変わってくることを覚えておきましょう。
一部でお世話になっている新車ディーラーの営業マンに車の売却だけ相談する人がいますが、ディーラーは買取だけ行っても営業マンは何も恩恵がありません。
成績や給料に反映されない面倒な仕事が増えることを嫌って、意図的に安い査定額を提示されることもあるので注意しましょう。
新車ディーラーが行う横流しは悪い行為ですが、買取や下取りに力を入れない販売店であれば、顧客目線の良心的な対応だと捉えることもできます。