買値より高く売れた場合の税金

高値で取引される希少な車

“往年の名車”と呼ばれる旧車や限定モデルは新車価格よりも高値で取引されるケースがあります。
買値よりも高く売れた場合は確定申告をして税金を払わないといけない場合があり、個人が自家用の目的で保有していた車を売って利益が出た場合は一時所得に該当します。
なお、個人でも商売目的の転売で利益が出た場合は事業所得扱いです。(ここでは商売における税金の話はしません。)
一時所得は年間50万円の控除額があるので、利益が50万円以下であれば確定申告は不要で納税義務も発生しません。
また、自家用車は5年以上保有していれば控除額を差し引いた利益の50%のみが課税対象になります。

諸費用込み200万円で売った車が高く売れた場合
250万円まで:非課税
300万円(5年以上所有):25万円((利益100万円-控除額50万円)÷2)
300万円(所有5年未満):50万円(利益100万円-控除額50万円)

車の購入や売却にかかる諸費用は経費としてみなされます。
車を買う時の諸費用と年間50万円の控除枠があるので、プレミアム価格で流通している車でも納税義務が発生するケースは少ないです。

ほかの一時所得に注意

一時所得は車を売った売却益のほかに、以下のものが含まれます。

懸賞などの賞金・賞品
競馬など公営ギャンブルで得た利益
保険の満期一時金や満期返戻金
法人から贈与された金品(商品券含む)
遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金
賃貸住宅の大家や地主などから受け取る立退料
※宝くじ、交通事故などの慰謝料、賠償金は非課税

もっとも多いのは、保険の一時金や満期返戻金です。
一時所得の50万円控除は年間の上限で、複数の一時所得があっても控除枠は50万円までです。
たとえば生命保険の満期一時金を受け取った年に、プレミアムの付いた車を売ってしまうと、生命保険の一時金で50万円控除を使っているので、車の売却益に対しての控除がありません。
50万円以上の利益が出る車を売る場合は、他の一時所得がない年に売却しましょう。

一時所得の税率

一時所得は一部の源泉分離課税に該当するものを除いて総合課税です。
自家用車の売却益は総合課税になり、控除や5年以上保有の50%軽減された課税対象額が、給与などほかの所得に合算されて所得税と住民税が課税されます。
たとえば、200万円で買った車を5年以上保有したのちに350万円で売れたら、課税対象になる所得は50万円です。
もし、給与所得が400万円だった場合、一時所得の50万円を加えた年収450万円で所得税と住民税が課税されます。
収入に応じて税率が変わり、車の売却益が上乗せされることによって税率が高まるケースもあります。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

住民税の計算方法
所得金額-所得控除金額=課税所得金額
課税所得金額×税率-税額控除=所得割
前年の所得割に対して10%が翌年の住民税

税額の計算は複雑ですが、課税対象になる利益の分だけ給料が増えたのとほぼ同じ税金がかかると思っておけば大丈夫です。(厳密には給与所得控除の割合があるので計算式は異なる)

買値より高く売るのは難しい

カーセンサーやGooなどの中古車情報サイトを見ていると、プレミア価格で流通している中古車が多数あります。
しかし、あくまでも店頭販売価格であって、個人が自家用車を売る時の売却価格は店頭小売価格より安くなります。

大衆車であれば、優良業者の場合で店頭小売価格より20~30万円低い金額が買取価格の目安です。
プレミアムの付いた車の場合、小売価格と業者の買取価格で大きな差が出ます。
特に古い車は業者の利幅が大きくなります。

プレミアム価格で流通している車は、コアなファンしか買わないので長期在庫リスクがあります。
また、車の状態によっては屋外で雨ざらしの展示をすると価値の下がってしまうので、再販するためのコストが高いです。
車種によっては、小売価格と業者の買取価格で100万円以上の差が出るケースも珍しくありません。
業者への買取価格が安くなることを踏まえると、課税対象になるだけの利益で車を売るのはとても難しいです。

個人売買のトラブルが多い
個人売買のトラブルを抱える男性

プレミア価格で流通している中古車を買う人は強いこだわりを持っています。
ヤフオクなどの個人売買であれば高く売れると簡単に考えている人もいますが、希少性のある車はクレームリスクが高いです。
現車確認からの成約率が低いので手間もかかり、落札後にクレームを受けるケースもあります。
私はお客から、リフトで持ち上げてみたら下回りのサビや傷があって明記していないのは詐欺だと騒がれて相談を受けた経験があります。
個人売買は業者の買取価格より高く売れる可能性があり、プレミアムの付いた車種は買取相場とヤフオクの落札相場の差が大きくなりやすいです。 しかし、リスクが高いので安易な考えで個人売買に手を出すのは危険です。
業者の買取価格に納得できない場合は、一括査定で複数社を比較するか、ユーカーパックのようなオークション形式の車売却サービスがお奨めになります。
大切に乗っていた思い入れとこだわりのある車だからこそ、気持ち良い取引で手放すことが大切です。