本来返還されるべき費用

車買取の業界では、自動車税とリサイクル費用の返却分を含めたコミコミ価格で査定額を提示する事が一般的です。
しかし、詳しい説明を省いていることもあり、本来返金されるはずの諸費用を業者が丸儲けしていることも珍しくありません。

自動車税とリサイクル費用のルール

車のリサイクル券と廃車

中古車の売却や転売をする時は、月割自動車税相当額とリサイクル費用を売却者に返金するのがルールです。
業者に車を売った場合は、商品車として扱うのか廃車にするのかで手続き方法やルールが変わってきます。それぞれ詳しく紹介します。

自動車税返金ルール

自動車税は毎年4月1日現在に車検証上の使用者に、その年度の自動車税の払込票が届きます。(自動車税は向こう1年分を先払い)
自動車税は分割払いする事ができず1年分まとめて支払う必要があります。

年度の途中で車を売却した場合、自動車税を月割で計算して返金するのが正規のルールです。
年度の途中で自動車を売買した際に発生する1年未満の自動車税を「自動車税月割税額」と呼びます。

例えば、2リッタークラスの乗用車でエコカー減税や経過年数による重課税がない通常の自動車税は年額39,500円です。
仮に自動車税を納付した直後の6月に売却した場合は29,700円が返金されます。
9月なら19,800円、12月なら9,900円、3月なら0円と年度末になるにつれて還付額は少なくなっていきます。

自動車税は一時抹消や永久抹消をした場合、陸運局に申請書を提出する事で自動車税月割額が管轄の県税事務所などから返金されます。

一度販売店に名義変更したり、売却月に名義変更が間に合わない場合は、買取業者が直接売却者に対して自動車税月割相当額を返金します。
つまり、業者に名義変更や抹消登録などの事務手続きを任せた場合は業者側が返金手続きを行わないと売却者の手元には月割自動車税が戻ってきません。

リサイクル費用とは

リサイクル費用とは、「リサイクル預託金相当額」の事でリサイクル券と呼ばれる事もあります。
自動車リサイクル法によって、廃車になる車の不法投棄防止のため、自動車を登録するときは廃車時かかる解体費用を先払いする事が義務付けられています。

新車中古車を問わず、車を買う時には必ずリサイクル預託金を支払っています。
車を廃車で処分する場合は、リサイクル券を使って解体業者が適切な処理をして車を処分してくれます。

廃車の場合はリサイクル費用の返金はありません。ただし車検が残っている車を廃車すれば重量税も還付対象になります。
商品車(廃車にする以外の全ての条件)として売却する場合は、リサイクル預託金相当額を買取業者が査定額とは別に支払うのがルールです。

業者が諸費用返金をしない理由

自動車税やリサイクル費用は法定費用なので、買取業者は条件に応じて、売却者に返金する義務があります。
買取業者は、こうした法定費用を返金していないのではなく査定価格に含めて提示しているのです。

廃車にする車や1万円~3万円程度の値段しか付かない車の場合は、査定額や返金する法定費用とは別に、事務手数料や処分料、引き取り料などを計上した形にして法律違反にならない口実を作っています。

元々は適切な処理をしていた

車買取業者が自動車税やリサイクル費用のコミコミ価格による査定提示をはじめたのは、不正や利益をあげる事の目的ではなく商談を有利に進めるためです。
一例として、査定提示の際の次の2つの回答を見てみましょう。

1. 査定額は25万円です。
2. 査定額は21万円です。ただし、自動車税やリサイクル費用を合計で4万円還付いたします。

この2つはどちらも21万円+法定費用返金分4万円の同じ査定額です。
まず1番の25万円のコミコミ価格の査定提示の場合、自動車税やリサイクル費用が含まれている事を説明していません。
お客さんから聞かれた時にだけ「うちは査定を頑張った限界価格なので、法定費用が含まれたコミコミ価格になっています」と説明しています。
2番の回答方法は正規の手順になります。金額も結果的に同じでも、しっかり他社よりも安い理由をお客さんが聞いてくれない事が問題になっています。

車を売る方の多くは、自動車税やリサイクル費用の返金ルールや業者によって対応が違う事情を理解していません。
そのため、査定額が全てだと思い込んでいます。
まず最初にA社に査定を受けて1番の25万円の提示を受けたとします。

その後2社目にB社の査定を受けて、2番の21万円の提示を受けたら、その時点でB社の話を聞こうと思わなくなってしまいます。
こうした消費者心理もあり、買取業者は商談を有利にするために、査定額に適切な法定費用を上乗せしてお客様に提示をしていました。

しかし、自動車税やリサイクル費用などの法定費用に無頓着なお客が多い事から、法定費用を含めていない査定額で話をまとめて、法定費用は業者の利益にしてしまう悪徳業者が増えてしまいました。

自動車税やリサイクル費用で簡単に利益化

本来返金するべき自動車税は、売却日と名義変更や抹消手続きの日にちに時間があくと(月をまたいだ場合)返金額が変わるので、買取業者から直接売却者に立て替えて返金しています。
その後、買取業者は抹消の場合は自動車税返金先口座を自社に設定する事で、相応額を県税事務所などから受け取っています。
リサイクル費用は、商品車として売却する場合は、新しい買い手からリサイクル預託金相当額を受け取る権利があります。
業者用オークションで転売した場合でも必ず落札者から、代金とは別にリサイクル費用と月割自動車税(抹消していない車両の場合)が支払われます。

リサイクル預託金は廃車にする以外は陸運局などの役所から返金される事はなく、常にその車のオーナー(所有者)が購入する時に相当額を払っていく決まりになっています。
悪徳業者は、買取した車のお客さんにはリサイクル費用を返金せずに、新しい買い手から徴収する事で丸儲けをしています。

自動車税もリサイクル費用も陸運局を通じて返金する機会が少ないです。
また、売却時期と手続きを行う日の都合で一度業者が立て替えて返金する事が多いので、返金先口座を買取業者に設定する事も自然な流れです。
こうした一連の流れから、買取業者が法定費用を自社の利益にするのは簡単な事です。

事前に諸費用返金を確認

車を高く売るには、査定額を聞く前か聞いた直後に法定費用が返金されるのか確認しておきましょう。
返金してくれない場合は、法定費用相当額を差し引いた金額が査定(買取)額になる旨を認識します。

他社よりも数万円安い査定提示でも、法定費用が戻ってくれば最高値の業者になる場合もあります。
自動車税とリサイクル費用のルールや、業者によって対応が違う事が分かっていれば損をする事がなくなります。

また、あらかじめ税金の話などを切り出しておく事で、このお客は詳しい人なので、安いボッタくり価格を提示しても決まらないと業者に印象を与え、最初から高額査定を提示されやすくなる交渉効果もあります。