JPUC「適正買取店認定」ってどうなの?

JPUC公式サイトのスクリーンショット

一般財団法人日本自動車購入協会「JPUC(ジェイパック)」が2020年3月1日より「適正買取店認定制度」をスタートさせました。
2019年10月より認定制度の受付をスタートさせていて、受付開始直後から700店舗が申請。2020年6月25日時点で69社の買取事業者が認定を受けています。

※2021年3月9日現在65社に減っています。
新規認定申請件数が少なく、費用面の問題から認定(契約)を解除する業者もいるようです。

このほか、媒体事業者としてズバット車買取を運営するウェブクルー、カーセンサーを運営するリクルート、かんたん車査定ガイドを運営するエイチームをはじめ、楽天・カービューなど一括査定サイトも認定を受けていて、一括査定サイト内にてJPUC優良買取店が参加している旨をアピールしています。

JPUC適正買取店認定を受けている業者は、しつこい勧誘や迷惑行為をしないコンプライアンス遵守が徹底され、JPUCが定めた厳しい自主規制に則った運営をしているため信頼性が高いです。

さらに、認定を受けるにはJPUCから警告以上の措置を3年以上受けていないことが要件になっていて、JPUCが運営する「車売却消費者相談室」によるフリーダイヤルのコールセンターでクレーム受付や相談業務を行っています。

このほか、キャンセル機能を義務づけるなど気軽に車の売却相談をできる環境が整っているので、悪質業者による強引な勧誘・迷惑行為を懸念している方でもJPUC適正買取店へ相談すれば安心です。
ただし、適正買取店はJPUCの定めたガイドラインに沿った対応をするのみで、高価買取や適正価格での買取を保証するものではありません。2重査定等の禁止項目もないので注意してください。
コンプライアンス遵守に特化した認定制度で、車を高く買取してくれる優良店とは限らないことを覚えておきましょう。

JPUCのルール

JPUC適正買取店認定を受けるには、JPUCの行動基準を遵守することと、契約書やWEBサイトでJPUCの監修を受けるかモデルを採用するルールがあります。

しつこい迷惑行為をしないための主要なルールをまとめると以下の通りです。

1回の申込に対し1社から1日10回以上の電話発信をしない
同業者間で価格協定等をしてはならないルールが定められている
過剰広告等の禁止(絶対に…、根拠のない理由での日本一・地域No1など)
アポ無し訪問の禁止
キャンセル申請機能の設置義務
お客が契約しない意思を伝えたら、契約を催促する勧誘をしない
出張査定時にお客から退居するように伝えられたら速やかに応じる
自動車税・自賠責保険相当額が査定額に含まれているか別途返還されるのか丁寧に説明する
ホームページや契約書・約款等に分かりやすく「車売却消費者相談室」の窓口(電話番号)を記載する

このほか、お客が不快に感じる言動を取らないなど、常識に関連したルールが多数あります。
上記に違反する対応をされた場合は、車売却消費者相談室へ相談することで対処してもらうことができ、JPUCが警告以上の措置と判断すれば適正買取店の認定が更新できなくなる仕組みです。

参考JPUC憲章 行動基準
http://www.jpuc.or.jp/charter/

適正買取店認定を受ける費用

車を売ろうとしている消費者目線では、業者側のコストが膨らんで買取価格が安くなっては意味がないと感じるものですよね。
JPUC適正買取店認定制度を受ける費用について調査した所、良心的な価格で対応していることが分かりました。
初期費用は3万円~、継続費用は2年毎に1社1万円~+店舗3,000円~。
中古車買取を専門にしている業者であれば買取価格に影響の出るコストではありません。

JPUCの会員以外でも適正買取店認定を受けられるため、今後大きく普及する可能性がありそうです。
なお、適正買取店認定を受けるには、一定の基準を満たすことに加えて、各店舗に研修を受けたスタッフを1名以上配置することが義務づけられています。

初期費用
認定申請費用 会員20,000円/非会員40,000円(会社単位)
研修受講費用 会員9,000円/非会員18,000円(1人あたり、各店舗1名以上)
約款監修費用 JPUCモデルの約款と契約書を使用すれば無料/約款監修時は5~10万円
Webサイト監修費用 会員0円/非会員2万円
継続費用
継続時
情報管理費用
会員10,000円/非会員20,000円(2年毎・会社単位)
継続時
eラーニング費用
会員3,000円/非会員6,000円(研修受講済スタッフ1人あたり)
JPUC会員費用
買取事業者
入会金 年間買取台数に応じて11~22万円
月会費 年間買取台数に応じて1.1~33万円
新規小規模買取事業者限定
(従業員5名以下、店舗数2店舗以下、年間買取台数1,000台以下)
入会金 33,000円
月会費 5,500円
参考JPUC入会案内
http://www.jpuc.or.jp/guide/

主な認定店

2020年6月25日時点で認定を受けている事業者のうち、全国展開など知名度の高い大手事業者を一覧にまとめました。

買取店

ガリバー、アップル、オニキス、カーチス、カーセブン、はなまる、ビッグモーター カーズネット、ジェイボーイ、JCM、セカンドエイジ、ネクステージ、ビッグウェーブ、ユーポス、etc…

媒体事業者

ウェブクルー(ズバット)、リクルートマーケティング(カーセンサー)、エイチーム(かんたん車査定ガイド)、楽天、カカクコム、カービュー、 プロト(グーネット)、カレント(外車王)、バリュークリエーション(車査定・買取の窓口)、ミスターフュージョン(Mr.クルマ査定)、モータートレード、etc…

真価を問われるのは2年後?

中古車の売買

JPUC適正買取店は明確なガイドラインを定めている点と協会が用意するフリーダイヤルの相談窓口を用意している点を高く評価できます。
現時点でも、車の売却先や査定を受ける業者選びで、適正買取店認定の有無を考慮する価値があるでしょう。

ただし、現状は大手チェーンが軒並み認定を受けていて、その要因は過去の違反(協会からの警告)を受けた事例が少ないことが関係しています。
JPUC(日本自動車購入協会)は2014年に設立され、会員に対して行動基準を案内し、相談窓口を用意した運営をしていましたが、これまではJPUCおよび相談窓口が消費者に認知されていませんでした。
過去の違反・警告を受けた事例が少ないため、当初に申請した業者が軒並み認定された様子です。

今後、相談窓口へ通報が入った業者が認定取消を受ける事例が出てくれば、適正買取店の価値がより高くなっていくでしょう。
ターニングポイントになるのは認定開始から2年経過したタイミングでの継続(更新)時期です。全ての業者が更新・継続審査をパスするようなら、JPUC適正買取店のマークは飾りのようなものになってしまうかもしれません。
もちろん、厳しい管理体制によって全業者が審査を適切にパスする可能性もありますが、Twitterやネット上の口コミが悪いのにJPUCからは認定を受け続けている業者が現れれば、適正買取店マークの価値がなくなります。

このように、JPUC適正買取店の真価が問われるのは更新審査が始まる2年経過してからだと著者は感じています。
強引な勧誘をしない対応を求める方はJPUC適正買取店へ相談し、もし対応に問題があれば積極的に「車売却消費者相談室」へ相談・通報してください。

また、JPUC適正買取店は高価買取できる業者を認定するものではなく、顧客に対して適正な対応をする業者の認定制度です。
少しでも車を高く売りたい方は認定を受けていない業者も選択肢から外すことなく、幅広い業者の査定価格を比較すると良いでしょう。