即決をチラつかせる

車を高く売る交渉術で非常に効果的な方法が”即決をチラつかせる”事です。
今日決まるかもしれないお客は、営業マンも本気になって限界価格にチャレンジしてくれます。
ここで注意しなければいけないのが、即決する意思はあくまでも全面的に出さずにチラつかせる事です。

絶妙な即決交渉をするためのポイント

即決をチラつかせる目的は次の2つの理由があります。

リアルタイムの中古車相場から限界価格を引き出す
業者を本気にさせる

中古車相場は常に変動していて、基本的に時間の経過とともに中古車の価値が下がっていきます。
いつ成約になるか分からない客は1~2ヶ月の相場落ちを考慮した査定価格しか提示されませんが、即決の条件であれば、リアルタイムの中古車相場から今買取できる限界価格を引き出す事が可能になります。

また、中古車買取の商談は業者との駆け引きが大切です。
業者に価格の勉強をしてもらうには、まずは本気で向き合ってくれない事には始まりません。
一般的な車買取専門店の場合、スタッフ1名につき1日で10件以上の査定をすることもあります。
日々多数の査定業務を行っている査定員は全てのお客に対して100%のモチベーションを維持することができません。
即決をチラつかせる事で、車買取業者をその気にさせて本気の価格交渉に応じてもらえます。

即決を全面に出すのはNG

すぐに車を売りたい事情がある場合でも、買取業者との価格交渉で即決の意思を全面に出すのはNGです。
今日車を売りますと意思表示をするのはネギを背負ったカモです。
即決の意思を強く感じ取った業者は、もう成約するお客だと決め付けて、いかに利益が乗った安い条件にまとめるのかを考えてしまいます。
車買取業者に対しては、あくまでも即決は少しチラつかせる程度に抑える事が大切です。

即決をチラつかせる方法

即決をチラつかせるには、ちょっとしたテクニックがあります。
車査定を受ける時には、車業者から「売却予定はいつごろですか?」と聞かれます。
ここで、上手に即決をチラつかせる回答方法の一例を紹介します。

「車を売ろうと考えていたのだけど、思っていたよりも他社の査定やネットの買取相場情報が低くて、買い替えるかまだ乗るか迷っているんです」

ここでポイントになるのは、車を売ろうと思っていた事をしっかり伝える事と、他社の査定を受けたなど買取相場を勉強している事をアピールする事です。
よくある回答方法で「金額が高ければいつでも・・・」と答える方がいます。

私の経験上、この答え方をするケースは、結局すぐに売る意思を持っていないか、無謀な条件を提示してくるなどの理由で成約率が低いです。
「金額が高ければ」と言われた場合「ではいくらだった売りますか?」と聞き返します。
この質問に対して、多くのお客さんは、「高ければ高い方がいいのでまずは査定を出してくれ」と言うか、一般的な買取相場を大きく上回る金額を提示してきます。

高ければ売ると言った以上、具体的な金額を提示しない事は矛盾が生じます。
矛盾が多いお客は、高値を提示しても実際には決まらないと業者が警戒します。
一般的な買取相場を大きく上回る金額を提示した場合は、買取業者は折り合いが付く条件に詰め寄ろうとしてくれますが、しっかり相場情報の勉強をしていない客だと悪く評価されます。
即決をチラつかせる事は、言い方も大事ですが、適切な相場情報を勉強して、できるかできないかのギリギリの価格帯を把握しておく事も大切です。

即決を前提にした条件提示された場合

即決をチラつかせて価格交渉の最終段階に入ると「この値段まで頑張ったら今日決めてくれますか?」と言われます。
即決を前提にした条件提示を提案された場合の対処法は次の2つがあります。

業者からの即決前提の価格提示に同意する
他の業者にも再度相談したいと伝えて条件提示を断る

既に複数社の査定を出していて、交渉の余地が少ない限界価格水準まで話が進んでいる場合は、即決前提の価格提示に同意するとよいでしょう。
まだ限界価格の把握や他社との比較が不十分な場合は一度突き放す事も効果的です。
即決前提の特別条件の提示を断ると「今を逃すと最高の条件を逃しますよ!」などと脅してきます。
しかし、業者の脅しには屈せず即決が条件なら話は聞かないと断固たる姿勢を取りましょう。
ここでお奨めの回答方法を紹介します。

「明日まで時間をくれませんか?先に話をしている他の業者からの最終条件も聞いてから検討したいです」

ポイントは、まず期限を設定する事です。1週間とかではなく、なるべく短い期間を提示すると業者も本気で売ろうとしているお客だと感じて逃がさないための努力をします。
できれば今日の夜を提示するなど、期限が短いほど交渉が有利になります。

このように短い期限の条件で待ってくれと提案すると、特別条件の可能性を残して一度帰る事ができたり、決めなくていいので条件を聞いて欲しいなどと話が売り手有利な方向に動く可能性があります。
ここで、すんなり退く業者は他社に負けない限界価格を提示する自信を持っていない可能性が高いです。
本当に他社より高く買い取りできる業者は、今日、明日で決まりそうなお客を何も提示せずにそのまま帰す事はしません。